奈良のデザイン事務所、パーキーパット・デザインズ代表の前田です。
今回は、お客様からよく言われる「デザインのことはよくわからない…」という言葉を前向きに捉えてほしく考えていきます。デザインのプロがいて、そこに依頼をしていただけるのですから、デザインのことはわからなくて当然なのですが、このとても素晴らしい状況について記していきます。
まず、プロとしてお金をもらって仕事をしている人以外の方を「一般人」と今回は呼ばせていただきます。「素人」ではちょっと言葉のニュアンスが違う気がするので、一般人とさせてください。
そんな一般人が、デザインやイラスト、アートのことなどを語るのは、おこがましいとされる風潮ってありますよね。あれ、実は僕、とても違和感があるんですよね。(アートは少し違う領域ですが、今回の内容としては同じかなと考えたので、あえて入れています)
だって、一般人が目に入るものだったり、購入したりするものに、デザインやイラストなどって必ずと言っていいほどに入っているものでしょう。そして、そこから受ける「良い・悪い」から感情の影響を受けて、行動に移していくものじゃないですか。一番のユーザーとなる一般人が意見を言うことがおこがましい・差し出がましいとするのは、おかしくありませんか。ずっと昔から感じていることです。
そう、遠慮なく感じたことを言って良いと思います。いえ、むしろ言ってほしいです。
一番のユーザーである一般人が、遠慮して何も言えないっていう状況は、業界としても変な壁ができていまい双方にデメリットが起こる不安もあります。
一般人からしたらいつまでもわからないもの…。そんなものにお金を払うってちょっと変なことじゃないでしょうか。一方、プロでは、ユーザーの意見を聞き入れないということになると、独りよがりの制作になるだろうし、ユーザー(一般人)との乖離が起こり、良いものが作れなくなりそうです。(これに近いことになっている製作者を僕は知っています)
一般人がいろいろ意見を言いづらい要因の一つに、「それを言うとプロからキツく返しがあるから」といったことが考えられます。実際そういうこともよく聞きます…。プロの意見が怖くなっている人がいるということ。コミュニケーションの欠如でもあるし、とてもよくないと思います。これはプロが悪い…。
ここは思い切って、プロの意見はシャットアウトしてしまうくらいにして、デザインやイラスト、アートを見てほしいです。もちろん難しい専門用語なんていりません。歴史や業界の学術的知識も知らなくてよいです。業界の有名な人が作った?そんなの一般人からしたら無名の人です。
そうして感じた、自身の正直な気持ち、心に響いた感情を知りたいです。そこで出てきた一般人の「好き」や「良い」というものが、プロの考える「好き」や「良い」と合致しているべきじゃないかと僕は考えています。
プロは、ターゲットに伝えたいことが伝わるようにと制作します(そうじゃない人もいます)。そのターゲットとなる一般人に、伝えたいことが伝わっていなければ、よくない仕事をしたことにもなりかねません。
お客様から「デザインのことはよくわからないから…、プロに任せるよ」という言葉はとても嬉しいです。信頼していただけているということでしょう。でも、任せていただくのと、感じた意見を言ってもらうのは全然別物だと思います。
デザインしたものを見てもらったときに「わからないけど、これで良いならいこう」となったとき、少し不安と寂しさがあります。一般人に伝えたいものが伝わってないことになりかねないからです。もちろん依頼者とターゲットが合致しない場合もありますが、それでも一般人の言葉は無下にできないものだと僕は考えています。
どうぞ、感じたことは教えてください。遠慮はいりません。
以上、一般人の方でも遠慮せず、感じたことは言ってほしいです。ということを長々と書きました。「プロのやることに口出しするな!」と言うプロもいるかもしれません。でも口出しと、感じたことを言うことはちょっと違うんですよね。僕はそう思います。
ただし、遠慮なくとは言いつつも注意書き。すべての意見を受け入れるという意味ではありません。(ごめんなさい)
プロにはプロの考えもあります。そこは受け入れてほしいなという気持ちもあります。甲子園の観客席で解説者顔負けの持論で話が止まらないファンの一般人と、実際の解説者やプロ選手の感じることが違うのと一緒です。ただし、意見をシャットアウトするような姿勢にはなりません。一般人の声や行動はとても参考にしています。これは間違いありません。
おそらく、そういった一般人の感情と、プロとしての思考とのバランスを取ることも、プロの仕事なのかもしれないなとも感じます。デザインわからない…その気持ちがとても大切です。それをしっかりコミュニケーションを通じて得られるよう、プロも精進していきます!