奈良のデザイン事務所、パーキーパット・デザインズ代表の前田です。
今回はスタートアップとデザインについて考えていきます。スタートアップ、IT業界で多いですが、ざっくりと言うと「新しいビジネスを立ち上げてグングン急成長させていく企業」のことを言いますね。ベンチャーとの違いは、短期間での成長ゴールと革新的ビジネスかどうか、というところでしょうか。
そんなスタートアップと、そこに関わるデザインの素敵な関係について見ていきます。
2021年1月30日号の「週刊東洋経済」に特集記事として『1億人の「職業地図」─消える仕事、残る仕事』という内容が掲載されていました。そこに「残る仕事」側にスタートアップ起業家が入っていました。新しいテクノロジーやDX系のスタートアップが注目されているようです。誰でも挑戦でき、アイデア次第で結果を残せるということで、可能性のある分野(という表現も少し違和感はありますが…)だと言えるのでしょう。
そんなスタートアップ、革新性があり、短期間で成果を出すことが求められる分、注目もしやすいですし、何をすべきかの行動もハッキリしているようにも感じます。また、スタートアップはベンチャーとは違って、企業である必要もなく個人事業主や数名のチームとしてでも成り立つものだと認識しています。
このスタートアップの特徴、
1)新しいアイデアで短期間に結果を出す
2)そのための道筋をハッキリさせる
3)企業でも個人でも可能
という点で、デザインともとても相性がよい、むしろデザインが重要であると考えます。
上記の特徴において、スタートアップはクライアントやユーザーなどお客様に向けて、「見せる/魅せる/伝える」ということが、とても重要であることは間違いありません。どんなに新しい素晴らしいアイデアのビジネスであっても、それが何のためのビジネスであるかを明確にわからないものであったら、お客様は良いものだとは判断できません。その革新性のあるビジネスが埋もれてしまう可能性があります。
短期間で世の中に、社会に出すということは、それだけ「見せる/魅せる/伝える」ということが必須となってきます。そう、そこで登場するのがデザインです。シンプルな思考でおいても、パンフレットやチラシ、WEBサイト(ホームページ)などで情報発信することが考えれます。サービス等のロゴも必要でしょう。そこに関わるデザインの良し悪しこそが、スタートアップの印象を決めてしまい、その未来をも決めてしまうといっても過言ではありません。
スタートアップが流行り出して、「ブランディング」という言葉も広く出回りました。ブランディングは長期間掛けて育てていくものなので、短期決戦にはなかなかハードなものなのですが、要は他とのビジネスとの差別化がしっかりできているか、という視点で考える必要があるということです。
他のサービスとは何が違い、どう革新的で素晴らしいかをアピールする。そして出来れば短期間の内にビジネスイメージを浸透していかせる。さらにもっと起点になる、新しいモノが出たという情報発信の時点でのPR設計なども必要になっていきます。まさに「見せる/魅せる/伝える」を担うデザインが、スタートアップにはなくてならないものであること間違いありません。
スタートアップとデザインの素敵な関係、とても良いことだなと仕事をしていく上で感じますが、ここでデザインする側も、スタートアップに付いていくことのできるスキルや知識、メンタル、行動力も必要だと僕は感じます。
それこそ、睡眠以外の時間は四六時中仕事のことを考えているスタートアップの経営者に寄り添い、的確なデザインを出せるかという点でもなかなかのスキルだと感じます。作業時の手の速さだけではなくアイデア出しの即効性も求められるでしょう。
そして、僕が一番大事だと感じることは、ビジネスの理解ですね。新しいサービスを世に出すときに、どう見せればそれが見事なスタートを切れるのか、そこをビジネス×デザインの思考でいかに動けるか、とても大切な部分です。また、経営者に対してもデザインの重要性を伝えることも忘れてはいけません。共に挑むスタートアップの道、その意気込みは必要ですね。
以上、スタートアップとデザインの素敵な関係について記しました。ますますスタートアップが盛り上がるとすると、必然的にデザインの出番もたくさんありそうだなと期待しています。ただし最後に書いた、デザインする側:デザイナーの成長も欠かせないと思います。おごらずどんどん成長していかないといけません。
そして、スタートアップの中でのデザインの立ち位置として、素敵な関係を築くということは、スタートアップがさらに良い成果を出すことに繋がるのだということです。デザインがないと成功はありえない!とまでは、さすがに言えませんが、それくらいの価値はデザインにはあります。
デザインはまだまだよく知られていない業界ですが、スタートアップとデザインの素敵な関係から、そういうところから広がってデザインの理解と活用の可能性の高さへと繋がったらなという期待もあります。
最初は、資金もいろいろ必要なので、専属のデザイナーを社員として雇うのは難しいかもしれません。そこはアウトソーシングという形と、外部デザイナーであっても距離感の近い人材に頼っていただくとよいでしょう。最初に専属として人を集めると、相性の善し悪しでもしかしたら良いパフォーマンスを出せない場合もあります。ここはいろいろ相談していく方が良策なときもありますよ。(過去に見てきた経験談から…)
もちろん、当デザイン事務所パーキーパット・デザインズにもご相談くださいませ。